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GRASS STAGE 14:30

音速のヒーロー、GRASS STAGEを席巻する

「元気ですか!? じゃあ始めます! KANA-BOONです! よろしくどうぞ!」と、谷口鮪(Vo./Gt.)の第一声に導かれ、性急で鮮烈極まりない“タイムアウト”が幕を切って落とした、 KANA-BOONにとって初めてのGRASS STAGE。ますます逞しくなって唸りを上げる古賀隼斗(Gt./Cho.)のギターの音像が熱く、続いての“LOL”では小泉貴裕(Dr.)のビートが前線の3人を追い回すように響き渡る。絵に描いたようなフレッシュパワーを、この序盤から4人のサウンドで明確に伝えてしまっていた。「ROCK STAR」のロゴが躍るTシャツを着用した谷口の歌声は、“ウォーリーヒーロー”でフィールドにみっちりと埋め尽くしたオーディエンスのテンションを際限なくブチ上げていく。

「最近、なにかロックなことありましたか?」と谷口が問い掛けると、「最近ロックなことと言えば、自転車を撤去されました。東京に来てからずっと乗っていたやつを、撤去されました」と応える飯田祐馬(Ba./Cho.)。このふたりによる軽妙なやりとりも安定感抜群で、そこから若い欲望を振り撒きオーディエンスのコーラスを誘う“なんでもねだり”、さらに、切ないすれ違いを永遠に封じ込める“ないものねだり”と新旧のアンセムを連発してくれる。いや、“ないものねだり”も「旧」と言うほど昔の曲じゃないんだけど、優れたロックチューンを量産し続ける KANA-BOONに触れていると、そんな気がしてしまうのだ。これが彼らの生きるスピード感なのだ。




“クラクション”の後、「ROCK IN JAPAN、僕たちが先にバテるか、君たちが先にバテるか、勝負しましょう」と繰り出される“盛者必衰の理、お断り”では、前方のエリアに砂埃がもうもうと舞い上がる。さらには、“フルドライブ”で追い込みをかけるという手抜かりのなさだ。メジャーデビュー年の2013年にROCK IN JAPAN FESTIVALに初登場し、当時のWING TENTで告げた念願どおりに、紆余曲折ありながらもひとりも欠けることなくGRASS STAGEに辿り着いたことを喜びながら、谷口はこの8/5にリリースされたばかりの最新シングルから“ダイバー”を披露する。そのままカップリング曲の“スパイラル”も届け、より豊かで熱い感情表現を伝える2曲が見事に終盤の興奮を生み出していく。

「そうですね……GRASS STAGEに立つことができた喜びも、全部歌に込めたいと思います」と放たれた最終ナンバーは“シルエット”である。もの凄いスピードで記憶を引きずりながら、もの凄いスピードで記憶を更新してゆく。清々しくスマートに、しかもとてつもなくドラマティックに突っ走る、KANA-BOONらしい最高のステージであった。(小池宏和)



この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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