レポート一覧

PARK STAGE 16:20

天賦の歌声が生んだ穏やかな感動

SEが流れ、ステージ上では、まずバンドメンバーたちがスタンバイ。そして、鳴り響いたギターの音色。やがてベース、ドラム、ピアノも合流し、バンドアンサンブルが柔らかに花開いた。その音に包まれながら安藤裕子が登場。観客からの拍手を受けると、彼女は軽く会釈し、マイクを手にした。まず届けてくれたのは、スキマスイッチの書き下ろしで提供された最新シングルのタイトル曲“360°(ぜんほうい)サラウンド”。彼女の歌声に、観客が瞬く間に魅了されているのを肌で感じた。まるで空へと飛び立つように歌う姿が、実に伸び伸びとして優雅。フィールドから見守る人々は、すっかり釘づけとなっていた。




2曲目“問うてる”の後に迎えた最初のインターバル。「こんにちは。安藤裕子です。みんなの今年の夏、きっと一番のイベント。ここに来てくれてありがとう。私はギリギリまでそこでスピッツ聴いていました」と言い、水を飲んで息を整えた彼女は再びマイクを手にした。そして届けられたのは“み空”。風に吹かれるかのように身体を絶えず揺らがせながら響かせる歌声が、実にエモーショナル。続いて“RARA-RO”。躍動感溢れるサウンドに合わせてステップを踏みながら歌う彼女は、とても楽しそう。観客もステージから届けられるサウンドに身も心も任せ、すっかりリラックスしている。腕を振り上げながら踊る人々の輪が少しずつ広がっていった。

「なんかさあ、私は弱音の塊のような人間。強くならなきゃと、いつも闘っております。みなさんにも誰かを救ったり守ったりできるような強い男、女になって欲しいです。最後に1曲歌って帰ります」と観客に語りかけ、ラストに披露されたのは新曲。まるで観客ひとりひとりの心に語りかけるように届いてくる歌が美しかった。アウトロ中、手を振って去って行った彼女に向けて、観客は一斉に拍手を送る。そして、演奏が幕切れた時に起こった歓声は、心からの称賛に満ちていた。誰も彼もが、感無量の様子。天賦の歌声に包まれる喜びを目一杯に感じた、とても贅沢な時間だった。(田中大)




この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

  • ツイート
  • Facebookでシェア
  • LINEで送る

RO69アーティスト情報

安藤裕子
クイックレポート更新情報もツイート中!