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GRASS STAGE 15:50

生まれ変わる細胞のように、更新される歌

最終日GRASS STAGEも残すところ3組。この位置には、ACIDMANが2003年以来通算11回目となる登場だ。“最後の国(introduction)”のドラマチックに立ち上がるSEにオーディエンスのクラップが折り重なってゆく光景は、何度目の当たりにしても胸が高鳴る。大木伸夫(Vocal & Guitar)、佐藤雅俊(Bass)、浦山一悟(Drums)という鉄壁の3ピースが位置につき、向き合って渾身の音出しを一発。「今日という日は、この瞬間は、1分1秒は二度と戻ってこないから、全力で楽しみましょう!」という大木が呼び掛けた次の瞬間、転がり出すのは“造花が笑う”だ。全速のダッシュ&ストップを当たり前のように決め、フィールドの一体感を牽引する。

“アイソトープ”に続いては、無限のロマンを内包するアンサンブルが宇宙空間のCGアニメーションを背負って疾走する“FREE STAR”へ。「今年で、なんとこのステージに立つのが11回目。ありがとうございます。デビューした頃はロックが下火で、なんでロックやるんですかって言われたりもしたんだけど、その頃からROCK IN JAPANはロックを守り続けてきて、今では日本一のフェスになって、本当に素晴らしいと思います」。大木がそんなふうに語り、ROCK IN JAPANに敬意を表して披露されたのは、ACIDMANがかつてレコーディングし、7月にリリースされたディズニーとROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015の連動コンピレーション『ROCK IN DISNEY』にも収録された名カヴァー“Can't Help Falling In Love”だ。大木の優しく美しい歌声が、ACIDMANでしかありえないドラマチックなアレンジに後押しされていた。




音の隙間に息遣いを宿すことで生の躍動感を増幅させる“リピート”では、佐藤のステップとアクションも次第次第に大きくなる。「世界は本当に美しいんだけど、汚いものばかり見えてしまって。でも、みんなが考え方を変えてゆくことで、世界は生まれ変わってゆくんだと思います!」と大木が叫ぶように唱えて放たれる“新世界”、そして儚くかけがえのないものを狂おしく歌う“Stay in my hand”と、全身全霊でヴォルテージを上げてゆく3人の姿が凄まじい。それでも決してオーディエンスを置き去りにせず繋ぎとめ、“ある証明”へと繋いでゆく。

「今日はみんなにとって特別な日だと思うし、俺たちにとっても特別な日。いろんな意味があるけど、こうして同じ方を向けるのは、奇跡だと思います」。大木は、大好きな人も大嫌いな人も死んでしまうからこそ、1分1秒を大切にしてほしい、という思いを語り、最後にじっくりと“世界が終わる夜”を歌い上げる。ときに燃え盛る命を伝え、ときに瞬間に注視させてやまないACIDMANの音楽は、今回も徹頭徹尾生々しい、ロックでしかありえなかった。(小池宏和)



この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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