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PARK STAGE 17:30

スピード狂ヒトリエが紡ぐ狂騒、そして興奮の向こう側

夕日がまぶしいPARK STAGEに登場したのは、昨年に続いての出演となるヒトリエ。 MCでwowaka(Vocal & Guitar)が、「昨年はテントのステージ(BUZZ STAGE)だったんだよね。今回はこんなふうに空が見えるステージで、時間的にもすごくよくて」と語ったが、マジックタイムとも言えそうな透明感と淡い夕日の色が入り混じった空間でのライヴは格別だろう。しかし、そんなまったりとした美しい時を切り裂いて、ふたたび灼熱の太陽を呼ぶようなアグレッシヴなライヴとなった。




wowakaの高速ギターカッティングから始まる“劇場街”でライヴはスタート。スピーディで歯切れのいいビートを的確に刻んでいくゆーまお(Drums)、リズミカルにメロディックにサウンドを支えるイガラシ(Bass)のベース、そして観客を煽り、激しくギターをかきむしるシノダ(Guitar & Chorus)のアンサンブルに、抑揚のあるこれぞヒトリエ節たるメロディが冴える。そして「一緒に踊ろう!」というwowakaの言葉とともに、続く“トーキーダンス”はさらにアッパーなビートで攻めまくる。高速ギターリフと、ぶりっぶりの重低音でしびれさせるベースに、観客の踏むステップは大きくなりPARK STAGEをダンス天国に変えていく。

だがまだまだ、彼らのスピード狂っぷりは序の口だ。“インパーフェクション”では、観客の手拍子も、他のバンドの2倍速、3倍速くらいのスピードとなり、“センスレス・ワンダー”でさらにアクセルを踏む。ぞくぞくするようなスピードを生みながらも、イガラシはステージ上を駆け回りベースを弾き、ゆーまおは淡々としているようで、実は曲のドラマの軸を握り、会場のムードも掌握しながらキレのいいビートを生み出していく。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL、このなかに踊りたりない人はいませんか!」。シノダが叫んではじまったのは“踊るマネキン、唄う阿呆”と、スピードを緩める気配はまったくないようだ。そして、イガラシのスラップベースを機に、気炎をあげるごときサウンドが容赦なく観客のステップを加速させる。

しかし最後に用意していたのは、暮れゆく空の景色にピタリと合うような、ミドルテンポの“モノカラー”だった。歌をまんなかに据え、重厚なバンドアンサンブルでじっくりと、ダイナミックに聴かせるこの曲。ソングライターwowakaの脳内に広がる世界を歌にし、それを忠実に描いていくような昂揚感のあるタフなバンドサウンドで響かせる。カオスを生み出すだけでない、ヒトリエというバンドの奥の深さを感じさせるエンディングだった。(吉羽さおり)



この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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