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LAKE STAGE 14:00

笑顔を生んだ、歌の魔力×セッションの興奮

鍵盤に向かってサウンドチェックをしていた常田真太郎が、座ったままクルッと身体を客席に向けて両手を上げた。なんと、それが開演の合図だった(笑)。やがてステージ袖から大橋卓弥が登場し、「どうも、スキマスイッチでーす!」と挨拶。1曲目“パラボラヴァ”の華やかなイントロがLAKE STAGEをふんわりと駆け抜け、青い空にどこまでも自由に伸びていきそうなポップなメロディが実に心地よい幕開けだ。大橋もニコニコしながら間奏でジャンプ。するとLAKE STAGEいっぱいに手拍子が沸き起こった。
曲が終わり、大橋が「いや、すごい!」と超満員の会場を見渡すと、常田も「嬉しいね」と一言。そしてゆっくりと大切そうにピアノのイントロを弾き始める。2曲目は“奏(かなで)”だ。美しい静けさの中、大橋がワンコーラス歌い終えると、オーディエンスからは大きな拍手が届けられ、今度はバンドの演奏が加わっていく。なんと贅沢な夏の日だろう。これまでに何度も聴いた思い出の名曲が、また新しい思い出で塗り替わっていく。




「ここからは駆け抜けますよ? 付いてきてくださいね」と大橋。最新アルバム『スキマスイッチ』の中でも最も攻撃的なタイプの楽曲”ゲノム”を、長い全国ツアーで鍛え上げてきたバンドの一体感で、ここ、ひたちなかにも突き付けていく。《壊せ 壊せ》《叫べ 叫べ》とサビで歌いながら、演奏しながら、どんどん本能を解放していくような今のスキマスイッチのポップは、めちゃくちゃタフだ。 《最近体調は悪かないが》と、大橋がアカペラで歌い始めると歓声が沸いた“ガラナ”。曲そのものの熱気もそうだが、今日のこの演奏の阿吽の呼吸やエモーションが大きく噛み合って、まさに音楽の魔法を見たような瞬間が訪れた。激しく突き上げられる無数の手。間奏におけるバンドのメンバーとのセッションの激しさも最高潮だ。そしてラストは大橋とお客さんとの歌のコール&レスポンスも楽しい“全力少年”。「最後はみんなで騒ぎましょう!」の言葉を合図にLAKE STAGEに集まった全力少年少女たちの大きなジャンプが鮮やかな光景を生み出し、大橋はステージの中央で《セカイを開くのは僕だ》と歌い上げた。キャリアと挑戦を重ねてきたスキマスイッチが、歌の力はもちろん、セッションから生み出される大きな高揚感でも魅了し続けたステージだった。(上野三樹)



この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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