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GRASS STAGE 15:50

夕景に刻まれる「これぞスピッツ!」なひととき

夕暮れが近づくGRASS STAGE、清涼感と甘酸っぱさいっぱいにライヴをスタートさせたスピッツ。メンバーみんな、スッとステージに入ってきて、スッと演奏を始めるのだけど、一気に心を持って行かれちゃう感じ、さすがだ。



草野 マサムネ(Vocals & Guitars)のクリアなハイトーンヴォイスも、三輪 テツヤ(Guitars)の魔術師みたいなギタープレイも、田村 明浩(Bass guitar)のやんちゃでアグレッシヴな演奏も、﨑山 龍男(Drums)の頼もしいのに小気味良いリズムも、どれもが欠けてはならない黄金バランスの上に成り立っている。アルバム『とげまる』に収録されている”恋する凡人”をはじめ、それをまざまざと感じさせてくれる熱演は続き、オーディエンスも凄まじい集中力をステージに向けている。序盤では曲の途中で、草野がギターを弾く手を止めてステージ前方に歩み出て、広大なGRASS STAGEの客席を眺めながら、丁寧に歌を届ける様が印象的だった。
「どうもこんにちは、スピッツです。楽しんでますか? 暑さは大丈夫? 精一杯歌いますんで、無理しないでね」と草野。そして「みなさん、リアルに充実してそうですね! いいなあ~」と笑った。



ピンク色の照明がステージを彩り、奏でられたのは永遠の名曲“チェリー”。草野の声は、キャリアを重ねた今もなお伸びやか、というかむしろ一層、優しく柔らかく、どこまでも広がっていく感じがする。安定感のあるサウンドやアレンジが生み出すドラマ、丁寧に添えられるコーラスなど、「これぞスピッツ!」的なものがミルフィーユのように何層も重なっているからこその美味しさ。スピッツって、すごいなあとあらためて思う。



夏フェス恒例のカバー曲もあり、“野生のポルカ”のアッパーなリズムと、まさに野性味溢れるプレイがGRASS STAGEを大きく揺らす一幕も。最後まで「みんながスピッツを好きな気持ち」に応えてくれるライヴだった。「どうもありがとうございました、スピッツでした!」と草野が言い、4人が颯爽とステージを去っていく。ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015、2日目の夕景に刻まれた素敵なひとときだった。(上野三樹)


この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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