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SOUND OF FOREST 12:15

新たな伝説を生んだ14年越しの孤高のブルース

2001年、まだLOVE PSYCHEDELICOが新人バンドだった頃にGRASS STAGEのトップバッターとして出演以来となる、今年デビュー15周年を迎えたデリコが遂にROCK IN JAPAN FESTIVALに帰ってきた。大きな拍手に迎え入れられたKUMI(Vo&G)とNAOKI(G)。イスに腰かけて、アコースティックギターをスタンバイすると、この日はふたりだけのアコースティック編成による演奏が繰り広げられた。

NAOKIがギターを爪弾き、透明感のあるKUMIの第一声が響き渡ると、大きな歓声が湧き起こった。デリコの名を世に知らしめた“Your Song”だ。英語と日本語を交えた独特の歌と、ルーツ色を打ち出したサウンドは、かつて衝撃をもって迎えられた。「私たちは14年ぶりのROCK IN JAPAN。すごい楽しみにしてました。みんな楽しんでいこうね」とKUMI。「たしか14年前もこの曲をやった記憶がある。一緒にいてくれた人はいるかな?」と問いかけると、フィールドからは少なからず手が挙がる。披露されたのは、ボブ・ディランのカヴァーで“Like a Rolling Stone”。まるでそれが自分たちの歌であるかのように身体に馴染んでいるKUMIの歌唱は、彼女の、その歌への強い愛情が感じられるものだった。傍らでギターを奏でるNAOKIとも時おり目を合わせながら楽しげな表情だ。




「みんな楽しんでる?」「今日は爽やかな日だね」「初日からいる人?」と、オーディエンスに声をかけながら、続けたのは、NAOKIが奏でるマンドリンの陽気な音色と共に届けた“Beautiful days”。穏やかでゆったりと流れていく時間に身を委ねると、なぜだか涙が出てきそう。続く“Last Smile”では、エレキギターに持ち替えたNAOKIが紡ぐ哀愁のリフに寄り添うように、KUMIが切ないメロディを歌い上げる。耳に届くのは決して爆音のロックではないけれど、それを全身で浴びた時と同じような衝撃が、デリコの歌には宿っている。この破格の存在感こそ、LOVE PSYCHEDELICOが独自のスタイルを貫きながら、こんなにも長く、多くの人に支持され続ける理由なのだと思った。

「後ろのみんな見えてる? 聴こえてる? All right!!」とオーディエンスに声をかけるKUMI。NAOKIが繰り出す悶絶級のギターリフに激震が走ったデビュー曲“LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~”のあと、「みんな最高! I Love You! I Love You!!!」と叫ぶと、最後は立ち上がり、ハンドマイクで歌ったのが、ラストナンバー“Freedom”だった。伸びやかで力強い声で自由への讃歌を高らかに響かせ、SOUND OF FORESTは言いようのない開放感に包まれる。煌々と輝く名曲たちを惜しみなく披露したLOVE PSYCHEDELICO。また新たな伝説が誕生した。(秦理絵)


この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2015」は9月12日発売予定です! 全ライヴアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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