2日目EARTH STAGEも大詰めというところで喝采の中に登場し、薄明かりのステージで「こんばんは」と挨拶する宮本浩次(Vo・G)。じわりと立ち上がったギター・イントロの中で今度は「さあ行こうかエブリバディ」と呼び掛け、豪腕グルーヴで一気に燃え盛る“俺の道”だ。石森敏行(G)、高緑成治(B)、冨永義之(Dr)、サポートに蔦谷好位置(Key)、ヒラマミキオ(G)と6人編成エレファントカシマシのパフォーマンスが幕を開けた。バンド対オーディエンスではない、1対1の濃密なコミュニケーションが無数に形成される、この感じ。「この年末の素敵な日に来れて嬉しいぜエブリバディ! みんなもそうだよなエブリバディ! どーんと行こうぜ!」と“悲しみの果て”を披露してゆくのだった。

「質問タイム。この世の中で一番大事なものはなんでしょう? 金だ! 金以上に大事なものがあるか! おい石森いけ!!」と、宮本はマイク・シールドを引き摺るようにしながら巨大なステージを端から端まで練り歩き、“デーデ”を叩き付ける。このデビュー曲のロック・ナンバーとしての普遍性が、四半世紀を過ぎても、エレカシに穏やかで、落ち着いた年輪の重ね方を許さない。その熱を“コール アンド レスポンス”が引き継いだ後、宮本は「まだ少し残ってるけど、この4日間で来年をいい年にしようぜー!」と告げ、石くんに帽子を被せたりしながら2014年6月リリースのシングル曲“Destiny”を紹介する。そして力を込め、語り聞かせるようにしながらその曲を歌い上げるのだった。“風に吹かれて”から“今宵の月のように”はヒット曲連発の一幕だが、宮本は例によって「聴いてくれ、比較的有名な曲」と告げて笑いを誘っている。

あらためてのメンバー紹介を経ると、“ズレてる方がいい”へと向かう。ブルージーな爆音ギター・リフやけたたましいオルガンが全力で援護するその歌に、何か励まされるような思いがするなら、そんな毎日も決して悪くはないと思わないか。“俺たちの明日”で胸の奥底から温められたら、本編ラストは真紅のライティングと爆裂グルーヴに染まって「あいつらの化けの皮と、俺自身の化けの皮と、君たちの化けの皮を剥がしに行くって、さっき自問自答の末、楽屋で結論しました」とまくしたてる“ガストロンジャー”で興奮の真っ只中にフィニッシュだ。「次は1月4日、武道館で会おう! 武道館に来られない人は、WOWOWで会おう!」とキスを飛ばしながら去る宮本であった。そう、エレカシの2015年は、目前に迫った1/3及び1/4の武道館で始まる。今から、凄まじい2日間になりそうな予感しかしない。

そしてアンコールに応えると、最後の最後にどこまでもリッチ&ラウドな、しかしやはり感情が先走った生々しいサウンドで、“ファイティングマン”も浴びせかける。ズレてはいるがブレてはいない。1980年代から2010年代までの楽曲をズラリと並べ、すべて等価に、驚異的なヴォルテージで放つという、にわかには信じ難いパフォーマンスであった。(小池宏和)





この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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