凄まじい熱気がGALAXY STAGEに沸き起こる中、その空間をまるで冷たく尖った爪で引き裂くようなギターのノイズ音と共に現れたのはDIR EN GREY。デビュー15年目を迎え、3年4ヶ月ぶりとなる通算9枚目のアルバム『ARCHE』を12月10日にリリースしたばかりの彼ら。まずは完全生産限定盤のDISC2に収録されていたインストゥルメンタルの新曲“and Zero”で幕を開けると、メンバーの登場と共に大きな歓声が。ギターのアルペジオが美しいイントロで“空谷の跫音”が始まると京(Voice)のハイトーン・ヴォイスとヘヴィなリズム、そしてあまりにも美しくミステリアスな映像との融合で唯一無二の世界をあっという間に生み出してしまう。

続く“Sustain the untruth”では更に激しくカオティックに重なり合うサウンドの中で繊細なメロディが浮かび上がる。メンバーの肖像画のようなものが映し出され、それが醜く歪んでいくようなインパクト大な演出で始まったのは2012年にリリースされたシングル曲“輪郭”。曲の途中で紗幕が落ちて、5人の姿が露わになるとオーディエンスは力いっぱい拳を振り上げた。一層パワフルになるドラムと共に会場は光に満ちる。私たちと彼らを隔てているものはもう何もない、その興奮が会場のボルテージをどんどん上げていく。

続く“濤声”では丁寧に歌いかけていくような京の感情のうねりに合わせるようにサウンドが渦を巻く。曲の後半、京の絶叫から畳み掛ける激しさに、そのギリギリの痛みや苦しみに迫るようなエネルギーに圧倒される。アルバム『ARCHE』の1曲目“Un deux”に突入するとヴィヴィッドでラウドなサウンドとメロディアスな旋律が清々しいほど今のDIR EN GREYを伝えてくる。“Chain repulsion”にいたっては豪快な疾走感にワクワクしてくるほど。まるで流れ出た血液のように真っ赤な照明にまみれ、痛みの根源を鳴らしながら、どうしようもないほど強い生命力を感じさせてくれた。

そんなDIR EN GREYがこの日、ラストに鳴らしてくれたのは2009年にリリースされたシングル曲“激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇”。フロントの4人がステージ前方へと踏み出し、そして京が真ん中で激しくシャウト。オーディエンスも激しく体を揺らしては両手を力強く天に掲げた。まさに全身全霊の音を刻んでくれた5人に大きな歓声と拍手が沸き起こる。メンバーもそれぞれにギターや腕を高く掲げながら、最後まで熱く衝撃的なステージで魅了してくれた。(上野三樹)





この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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