ステージ一面ブルーのライトに染まり、それまでの賑やかさからは一転、静かな緊張感が流れるASTRO ARENA。登場するのは、DIR EN GREYのヴォーカリスト、京のソロプロジェクトであるsukekiyo。SEのなか、メンバーの匠(guitar/piano)、UTA(guitar)、YUCHI(bass)、未架(drums)が拍手で迎えられ、京(voice)がステージに現れマイクの前に立つとさらに大きな歓声、拍手が起こった。

1曲目は今年4月にリリースされた1stアルバム『IMMORTALIS』収録の“aftermath”。繊細なアコースティック・ギターとピアノ、アップライト・ベース、ドラムによるスロウで叙情的な始まりに、京の柔らかな歌声がドラマティックに映える。次々に移り変わる映像を背景に、ときにファルセットを使いながら音に物語をつけていく。徐々に、プログレッシヴに展開していくサウンドに、オーディエンスは金縛りにあったように、ステージに魅せられていった。そんな、静かに息を呑むようなフロアに、ピアノの音色が響く。続く“elisabeth addict”は、エキゾチックなパーカッションとアコースティック・ギター、ヘヴィなベースが、ダークで淫靡な世界へと誘う。這うようなヴォーカルから、シャウト、ウィスパーなヴォーカルまでと、レンジの広いヴォーカルが、ダークな世界に跋扈する。ASTRO ARENAは、sukekiyoの紡ぐ音世界に染まって、閉じ込められてしまった。

一転、真っ赤な照明がステージを照らすと、サウンドもより重厚なバンド・アンサンブルによる“zephyr”、そして荘厳なステンドグラスの聖堂を背景に、来年2月リリースのミニアルバム『VITIUM』から“雨上がりの優詩”を披露。クラシカルな和風の音響とギターが絡み合う静から、アグレッシヴな動のバンド・アンサンブルに展開していくサウンドにあわせ、モノクロームの映像がカラーへと色づいて、ダイナミックな音像を加速させる。30分のステージで、1篇の映画を味わうようなエモーショナルな流れは圧巻。ラストの1曲“in all weathers”でも、メロディアスな歌からスクリーム、繊細なファルセットまでと、多彩な楽器の音色のように変化するヴォーカルを聴かせた京。MCはなし。音楽の説得力のみで、スッとステージを去った彼の背中に、大きな歓声が沸いた。(吉羽 さおり)




この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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