COUNTDOWN JAPAN 14/15・3日目夕方のMOON STAGEに登場したのは初出演となるjamming O.P.。本日EARTH STAGEのトップバッターで演奏した9mm Parabellum Bulletの滝善充がデビュー以前、9mmと同時並行で活動していたバンドであり、2004年結成、2007年解散、2009年再結成という紆余曲折を経ながら、今年遂に1stアルバム『broken words refuse me』をリリース。結成10年にして、満を持してのフェス初参戦となるのが本日のステージである。
定刻になり、メンバーがステージに現れる。すでに報じられている通り、滝は先日行われた9mmのツアー最終日に左足小指を骨折。さらにそれを庇って左手を損傷、という手負いの状態のため、楽器をギターからシンセサイザーへと持ち替えての出演だ。太田垣哲也(Vo&G)が「こんばんは、はじめまして、jamming O.P.です。滝が怪我をしてしまったんですけど、地元の最高の先輩が今日僕たちを助けてくれました、Dr.DOWNERの猪股さんです。正直僕たちもどうなるかわからないんですけど、最高の演奏をしていきます!」と語ったように、サポートに入ったのは彼らの先輩であるDr.DOWNERの猪股ヨウスケ。初のフェス出演を前に起きた大きすぎるアクシデントを、どうやって乗り越えるのか……といった心配は、どうやら無用だったようだ。これから繰り広げられる熱く真っ直ぐなステージが、それを証明してくれた。
まず演奏されたのは、アルバムの1曲目でもある“O.P.A”。田島博至(Ba)、チャック(Dr)の骨太なリズム隊と突き刺すようなギターが織りなす轟音の中、血管が切れてしまいそうな勢いで繰り出される太田垣と滝のシャウト。手負いの状態もなんのその、その熱量がMOON STAGE中を覆い尽くしてゆく。続いてヘヴィなバンドサウンドに劈くような滝のシャウト、明るくメロディックなサビがカオティックに絡みあう“pothead”から“photograph”へ。体を奥底から突き上げてくるようなヘヴィなサウンドに、観客も手を挙げて応えていく。
「ありがとーう! 俺たち、jamming O.P.です! COUNTDOWN JAPAN、ありがとーう! 今日はもうありがとうしか出てこねえや、ありがとう! バンドやってると、こんなところでやるチャンスもあるよ、ありがとう!」(チャック)「社会人5年目くらいで来たドラフトの電話、みたいな感じ。ほんと一生の思い出になると思います。精一杯楽しんでいきます。よろしくおねがいします」(太田垣)。結成10年目にして訪れた大きなステージへの感謝の思いを溢れんばかりに伝えると、重く響くチャックのドラムに猪股のカッティングギターが小気味よく乗るロックチューン“calling my name”へ。続いて太田垣と滝によるシャウトからはじまった“stockholm”では、滝のシンセが楽曲に新たな風を吹き込んでいて、この日限りのアレンジになってしまうのがもったいないほどだった。また、“alcohol and homeless”では、同時間にEARTH STAGEで演奏していたTM NETWORKの“Get Wild”のフレーズを組み込むなど、初出演ながら巧みな演出でオーディエンスの心を掴んでいく様はさすがの一言。そして「最後の曲です。2014年最高に楽しかったです!」と演奏されたラストナンバーは“keep you see my eyes”。ハンドクラップを煽る滝に観客が応え、最後は振り絞りるような、突き刺すような絶唱でフィニッシュ! 彼らにとって今日のステージは夢にも思っていなかった大きな舞台だったかもしれないが、そんなことをまったく感じさせない力強さが彼らの演奏にはあった。jamming O.P.という大きな轟音の塊が私たちを射抜いた、見事なステージだった。(安田季那子)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。