続いての登場は、坂本真綾! 来年でデビュー20周年というキャリアでありながら、昨年のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013で夏フェスに初出場してくれたことは彼女にとっても大きな挑戦だった。続けてCOUNTDOWN JAPAN 13/14へも出場を果たし、こうして年末に幕張メッセのステージに立つのは今年で2回目となる。
右手を高く突き上げながら登場した坂本真綾は、そのまま振り下ろしてゆっくりと胸に手をあてた。その次の瞬間、1曲目の“Be mine!”がスタート! 極彩色のライトに包まれ、溢れだす音の中で、エネルギッシュに歌を放っていく。フロアでは激しいハンズクラップが起こり、そのパワーを押し返すかのごとく自身も更にアグレッシヴな歌を届けてみせる。ああ、これがフェス・モードの坂本 真綾だ!
2曲目は、ちょっとお洒落にクールダウンして“coming up”へ。夏の夜の涼しさを思わせるような小気味良いギターのアーバン・ソウルなムードはthe band apartの原昌和が作曲を手がけたもの。ちなみに原とのコラボは1曲目に披露した“Be mine!”に続く2作目で、昨年のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013で同じ日に出演した原がツイッターで「真綾が見れなかった!」とつぶやいたことを知った坂本が原にコラボを打診したというのだから、そういう意味でもフェス進出は彼女にとって実りあるものになっている。フロアでは長い髪を揺らしながら歌う坂本の姿に魅了され、みんなも気持ち良さそうに音に身を預けている。
そして“SAVED.”では坂本真綾の真骨頂とも言うべき声の美しさが映えるスロウ・ナンバーをじっくりと聴かせていく。この声の透明感と、言葉ひとつひとつの豊かな表情に耳を傾けていると、とても贅沢で心洗われるような気持ちになる。
「ようこそ、坂本真綾です!初めましての方も短い時間ですが楽しんでいってください。来年はデビュー20周年になります。お前いったいいくつなんだと思ってる方もいると思うんですが、デビューが早かったんでね(笑)。来年はさいたまスーパーアリーナ公演もあるので遊びに来てほしいなと思います!」。
お次は「新曲をいち早くお届けします」と1月28日にリリースされるシングル曲“幸せについて私が知っている5つの方法”を。サビのふんわりとした高揚感のあるメロディは、もうそれだけで救いのような高貴な美しさで、でも手を伸ばせば届きそうな親しみやすさでMOON STAGEに広がっていった。
ラストはそんな幸福感とは一転、激しくドラマチックなナンバー“レプリカ”。バンド・サウンドの一体感、andropの内澤崇仁が手がけた大胆不敵な曲展開もあいまって、見事なクライマックスを演出。足を踏み鳴らすようにビートを刻み、大きな音の波に乗りながら渾身の熱唱。リリース前の新曲を含め、攻めのセットリストを披露して「どうもありがとう、良いお年を!」と、やりきった笑顔を見せてくれた。(上野三樹)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。