お揃いの白衣と肩に聴診器をかけて登場したのは、サンフジンズ。昨年のJAPAN JAMで結成された、カイ・ギョーイ(奥田民生/Vo,Bs,G)、ケン・シューイ(伊藤大地/Vo,Dr)、ジューイ・ラモーン(岸田繁/Vo,G,Bs)からなるバンドである。カルテのようなものを手にして神妙な面持ちでステージに出てきただけで、もう笑いが起きている。しかし1曲目の“富士夫人”から3人のテンションは凄まじく、濃厚なセッションを堪能させてもらう。さすが、JAPAN JAMで生まれたバンドだ。
「サンフジンズー!」と民生が叫び、2曲目のロックンロール全開なナンバー“さっさっサンフジンズ”へ。この後もそうなのだが、サンフジンズの曲は、サビでタイトルが連呼されることが多く、非常にわかりやすい。初めて聴いても口ずさめるキャッチーさがある。
「年末ごくろうさま!」とオーディエンスに声をかける岸田。すると民生が「あれ? サンフジンズって去年も出たっけ?」と言うと「出てないです! 初めまして!」と岸田が答えると、観客からは温かな歓声が。
そして中盤、サンフジンズの楽曲の中で唯一、譜面のみリリースされている“じょじょ”を披露。民生のソロやくるりの楽曲にもない、サンフジンズならではのチャーミングな雰囲気の歌だ。そしてグッドメロディだ。
「サンフジンズはCDを出してないんで、全曲みなさんにとっては新曲ですが、来年は動きがあると思うので、その時は宜しくお願いします」と岸田。続く“ふりまいて”は民生節を岸田が歌っている感じの新鮮さが面白い。ちなみに「オリジナルがまだ8曲ぐらいしかない」と岸田が言っていたが、このステージではそのうち7曲を披露してくれ、前半は岸田がベース、5曲目の“ふりまいて”からは民生がベースを弾いていた。
そんな貴重なプレイや3人のコーラス・ワークからも目が離せないサンフジンズだが、ユーモアも大事な要素。“ちゅーきんキング”では文字通り、駐禁のことを岸田がコミカルに熱唱する。途中からは民生と交互に歌う。歌詞をよく聴いていると、どうやら駐車と注射をかけているところもあるらしい。掛け合いが面白く、客席から拍手が沸き起こるが、一転して3人の演奏が激しくなった時の迫力たるや!
「来年、宜しくねー! やるよ、サンフジンズ!」と民生。最後は「では、みんなが知ってる曲を……」と岸田が言うと、客席からは歓声が沸くが、「知らんけどすぐ覚える!」と笑わせながら“サンフジンズのテーマ”を披露。曲は後半に進むにつれて、神々しさすら感じさせるセッションへ突入。岸田が大きく腕を振り回しながらギターを弾くと、民生はゴリッとしたベースラインを奏で、伊藤は熱気あふれるドラミングを繰り広げる。三者三様の遠慮のないロック魂がガチンコで噛み合って生み出される神業的セッション。演奏が終わり、彼らが並んでお辞儀をする姿に大きな拍手が送られた。2015年、またひとつ楽しみが増えたな。サンフジンズの活躍に期待!(上野三樹)




この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
RO69
ロッキング・オン公式 音楽ニュースアプリ
COUNTDOWN JAPAN 14/15 公式アプリ中!
COUNTDOWN JAPAN HISTORY

もっと見る
レポート一覧