夏のROCK IN JAPAN FESTIVALに続いて、COUNTDOWN JAPANにも初出場となったSuck a Stew Dry。鋭い残響音がこだまするなかメンバーが楽器をスタンバイすると、シノヤマコウセイ(Vo,G)が大きく手を広げ、“世界に一人ぼっち”からライヴは始まった。伸びやかに広がる開放的なサウンドとは裏腹に、孤独と向き合う人の弱さをありのままに歌ったナンバーだ。1曲終えて、「COUNTDOWN JAPANにお集まりのみなさん。はじめまして。年の瀬ですね。仕事納めした方も、明日からもまだ仕事なんですって人もいると思いますが、みなさん、おつかれさまでしたー!」とフセタツアキ(G,Cho)が叫ぶと、“空想少女リリー”では、ハジオキクチ(G,Cho)の朗らかなギターがリードするポップなナンバーで現実逃避の旅へ。ギブアップ寸前の追い詰められた心境の歌なのに、どこかコミカルに響く“カタカナトーク”では軽快なリズムに合わせて会場からも手拍子が湧き起こった。

アコースティックギターによる弾き語りからバンドサウンドが加わるドラマチックな流れが印象的だった“ヒーロー”のあとは、フセが「COUNTDOWN JAPANに出てるからには、一度はやってみたいことがある。今日は12月28日だけど……今は12月31日23:59! 5、4、3、2、1、明けましておめでとう!」という一足早いカウントダウンで笑いをとる。

そして、最後にシノヤマはお客さんに向けて丁寧に語りかけた。

「世の中に音楽を出すといろんなことを言われます。〇〇に似てるとか、何番煎じだとか。それが嫌になってしまうことがある。でも音楽だけじゃない。そういうことを言われてる人に対して、僕は、負けんじゃねえよとか、あきらめんじゃねえよとか言いたくない。少しでも僕らの音楽を受け取ってくれる気持ちがあれば、そういった刃に対して、心のバリアになれたらと思います」。

そんなバンドの願いも込めて、ラストは胸を突く爽快なポップソング“僕らの自分戦争”で幕を閉じた。(秦理絵)





この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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