「マ、ク、ハ、リ、時には女とマグワリ、MATSURI STUDIOからやって参りましたZAZEN BOYS。全国的に、世界的にこの世はささくれだって、せからし――」。向井秀徳(Vocal,Guitar,Keyboard)の馴染みの口上、そして“SEKARASIKA”でスタートしたZAZEN BOYS。切れ味鋭い、ソリッドなバンド・アンサンブルにのせ、さらにまくしたてるような向井のヴォーカルをフロアに突き刺していく。会場は満員。ただただ音を浴びて、ステージを食い入るように見つめ、感情のままに歓声をあげ、体を揺らす。そんな光景が広がっている。

そしてここからさらに濃厚なZAZEN BOYSワールドへと突入していく。強烈なフレーズの連続性、念仏のような歌、徐々に非日常へとスライドしていくしびれるような感覚を味わう、“Don't Beat”、そして松下敦(Drums)の変則的なドラム・ビート、吉田一郎(Bass)のベース、吉兼聡(Guitar)のギターの刻みが生み出すポリリズムに、向井が不協和音的鍵盤をのせながら、こちらもポリリズム的な言葉を投げつける“泥沼”へ。《ずぼっとハマった泥沼――ずぼぼぼっとハマった泥沼……》と即興的に歌にアレンジを加えると、各楽器もまた奇妙奇天烈にぶっ壊れていくアンサンブルを聴かせ、時にクールなヒップホップになりと、スリリングに展開していく。なにが起こるのか予測不可能なまさに「ライヴ」。そんな4人のエキサイティングなサウンドに、会場は大興奮している。

ポップながら、甘味料ゼロのダンサブルな“はあとぶれいく”から、ラストは《くりかえされる諸行は無常》にはじまる“Asobi”へ。アブストラクトなビートにのせて《遊び足りない》の無限ループに、吉兼はギターを置いて、むちゃくちゃなブレイクダンス(?)をし、手製の焼酎ボトルマラカスを振りながら、オーディエンスを盛り上げていく。10分にわたる、無軌道でささくれだって、しかしむちゃくちゃエンターテインしているセッション。興奮のツボをあらゆる角度から突くようなステージに、熱狂の声をあげるもの、踊るもの、吹っ飛ばされて立ちつくすもの、とでCOSMO STAGEはカオス状態となった。(吉羽 さおり)




この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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