COUNTDOWN JAPAN 14/15は早くも後半戦、そのトップバッターを務めるのは、今年結成10周年・9mm Parabellum Bullet! すでにアナウンスされている通り、滝善充(Guitar)が「ツアー最終日に左足小指を骨折、その後に左手親指の靭帯を損傷」ということで、ギター演奏不可能な滝はシンセで参加、サポート・ギタリストとしてHERE・武田将幸(Guitar)を加えた5人編成でのステージとなった今回。だが、「動きが封印された9mm、最高のライヴにするのはみんなの力です!」とフェス総合プロデューサー・渋谷陽一が前説で語っていた通り、1曲目から気合い一閃メタル・ディスコ・ボム=“Discommunication”を投下するバンドに応えて、ひと回り大きく生まれ変わったEARTH STAGEがいきなりレッドゾーンの狂騒空間へ突入! 数万人の情熱の真芯を射抜くような菅原卓郎(Vocal and Guitar)の絶唱。幕張メッセを震撼させる中村和彦(Bass)&かみじょうちひろ(Drums)の爆裂ビート。手負い状態ながら、今この瞬間を謳歌していることを全身でアピールしてみせる滝。そして、卓郎いわく「スーパー・ギタリスト」「この人以外に滝の代わりが務まる人はいない」と紹介した武田の、メイン・フレーズから轟音プレイまで滝パートを見事に再現してみせる渾身の爆演! “Cold Edge”“ The Revolutionary”と1曲また1曲とエクストリーム&エモーショナルな楽曲を炸裂させるたびに、EARTH STAGEがでっかく揺れ、ステージもフロアも一丸となって熱狂の頂へと昇り詰めていく。
「みんな、年明けまで踊るつもりなんだよな? いけるか幕張!」という卓郎のコールとともに流れ込んだ“Vampiregirl”があたり一面ダンス天国へと塗り替え、卓郎&武田のツイン・リードがバッチリ決まった“Supernova”に空気が震える。イントロを滝が鍵盤で奏でるこの日ならではのアレンジで流れ込んだスラッシュ・ワルツ“生命のワルツ”で、EARTH STAGE狭しと広がったカオティックな激烈世界の、身体も心も痺れるような迫力とダイナミズム! メタル/パンク/ハードコアなどありとあらゆるジャンルのロックを融かし尽くし血肉化し、爆風の如きヘヴィネスとヴァイタリティで観る者すべてを歓喜の果てへとぶん投げてみせる――そんな唯一無二の音楽集団・9mmの真髄が、この巨大な空間で全開放され、地面と空気をがんがん震わせていく。
「この広い会場の隅々まで、余すところなく盛り上がってるね。観に来てくれてありがとう!」という卓郎の言葉に、熱い歓声が沸き上がる。「音楽が鳴ってる間に、一瞬でも嫌なこと忘れて、幸せな気分を味わって帰ってくれたらと思います。もうひと盛り上がりすっか! いけるか! 来年もいけるか幕張!」という絶叫とともに雪崩れ込んだ“Black Market Blues”から、メーター振り切れっ放しのアクトはさらなるクライマックスへ! 高らかなシンガロングが響いた“新しい光”に続けて、かみじょうのツーバス&滝のシンセが弾け回った“Talking Machine”、さらに“(teenage) Disaster”でカオスの向こう側へ疾駆するようなスリリングな爆走感を描き出して……終了。負傷というピンチさえも「この日ならでは」のスペシャルな要素に変えてみせる9mmのタフネスが、この上ない爆発力と祝祭感を生み出した、至上のステージだった。(高橋智樹)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。