イントロが鳴っただけで大歓声が湧いた。スキマスイッチの名バラード、“奏(かなで)”だ。この曲を1曲目に用意してきた彼らの、このステージへの気合いは半端じゃない。超満員のオーディエンスが見守る中、ひとつひとつの言葉とメロディを大事に歌っていく大橋卓弥が常田真太郎のピアノにそっと近づく。互いがその声とその音に寄り添うようにして物語は紡がれ、曲の中盤から後半にかけての熱演は観る者を圧倒させる凄まじいものがあった。

そこからは2曲続けてエネルギッシュなアッパー・チューンで攻めると、会場のボルテージも更に上昇! 「どうもスキマスイッチでーす! すごい熱気ですね」と大橋。メンバー紹介を挟んでスキマスイッチのロックでシリアスな核の部分を響かせる“さみしくとも明日を待つ”へ。歪んだギターの音色が心情をかき乱すように鳴らされ、大橋のヴォーカルも更にエモーショナルに、この広い会場へ、そして聴き手の胸の奥へと、押し寄せる波のように広がっていく。ポップな恋愛ソングを作るふたり組、のイメージを抱いている人にはちょっと衝撃だったかもしれないが、デビュー10周年を越えて、そんなイメージさえも覆して本質を届けたいと思っている今の彼らの狙いはこの曲にあったのでは。後半にはうねるようなバンドのダイナミズムが、会場を飲み込んでいく。アウトロで常田の鍵盤の音色がその後を静かに追いかけると、そこに大橋がフェイクで声を絡めた。その様に、立ち尽くして聴いていたフロアから大きな拍手が沸いた。

そして12月3日にリリースされたばかりの最新シングル曲“星のうつわ”が温かなムードで届けられていく。伸びやかなメロディにしっかりとメッセージを託しながら、目の前のひとりひとりと向き合って歌うような、大橋の歌い手としての佇まいも観る者を引きつける。ラストは大橋とお客さんで気持良く声を響かせ合うコール&レスポンスを経て、“全力少年”。エネルギッシュで楽しいポップ・ソングがEARTH STAGEに舞い上がる! 大きなジャンプで揺れながら、みんなの笑顔と大合唱が花咲いた。「良いお年を!」と笑顔の大橋。常田も大きく両手を振りながらステージを去る。ポップを引き受けたスキマスイッチならではの圧巻のステージだった。(上野三樹)





この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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