さあ、2014年内にGALAXY STAGEに立つアーティストは、いよいよ残すところ1組。COUNTDOWN JAPANには7年連続出場、前回はこのGALAXY STAGEで初日のトリを務めてくれたBIGMAMAが、2015年到来の瞬間を担ってくれる。ドヴォルザーク”新世界より”をSEに登場した5人は、金井政人(vocal, guitar)による「行くぞ幕張ー!」という突き抜けるような第一声から、“Swan Song”を勢いよく放って瞬く間にオーディエンスを沸騰させてしまった。オリジナリティ溢れる、偉大な旋律に挑むロック・ソングとして成立しているのが凄い。「でももっといけるでしょう?」と金井が告げると、間を置かず柿沼広也(guitar, vocal)のディレイ・リフが響き渡り、東出真緒(violin, keyboard, chorus)による歓喜と狂気を縫い合わせてしまうような旋律と共に転がり出すのは“#DIV/0!”だ。手を振り、跳ね上がり、歌声を上げ、関わり方はまちまちでも、歌の中の決定的瞬間に迫るストーリーに、誰もが釘付けになっているのが分かる。
「今年のモヤモヤは、今ここで全部声にして吐き出してください! アタマ空っぽにした方が、高く跳べるんだぜ」と、より盛大な歌声を巻き起こす“Mr. & Mrs. Balloon”を経ると、「正真正銘のカウントダウン。GALAXY STAGEへようこそ、BIGMAMAです」と挨拶する金井。「敢えてバースデー・ソングを持ってきました。12月31日生まれの人いますか!? おお! 大晦日だからってないがしろにされてませんか? 今日はしっかりお祝いしてやるからな」と披露されるのは、“Jeffrey Campbellのスケートシューズで”だ。ZIP-FMとのコラボ曲“ワンダーラスト”では、ハンド・マイクの金井の歌を、リアド偉武(drums)の猛烈なビートと安井英人(bass)のフレーズが追い回す。“秘密”に続いては、オーディエンスが色とりどりのタオルを掲げる“until the blouse is buttoned up”へ。BIGMAMAの歌はなぜ、勢いに満ちていても、スローモーションで決定的瞬間を見つめ続けているような気持ちになるのだろう。「今までで一番大きな声聴かせてよ!」と、金井は昂りながら要求していた。
「ロックを、ライヴを、フェスを、ROCK IN JAPANを、COUNTDOWN JAPANを、音楽を、どれかひとつでいいです。愛してくれてありがとう! 我々BIGMAMA、すっごいいいアルバムが出来たので、来年は最っ高の1年にしてみせます。お約束します!」と、自信に満ちて高らかに抱負を語る金井。2015年はもう目前というところで披露されるのは、“No.9”である。歴史の中で無数の人々に歌われて来た旋律が、最高にロックな「歓喜の歌」として分かち合われる光景があまりに美しい。スクリーンにはデジタルの日付と時刻が表示され、それがカウントダウンへと移り変わり、アウトロが鳴り止む、というところで10秒前。BIGMAMAの歌に温められたオーディエンスの喉が一斉にカウントダウンし、それが大音量のゼロに到達すると、リボンキャノンが放たれ、笑顔の金井は「Happy New Year!!」と声を上げるのだった。
新年1発目のナンバーは、狂騒と共に新たな世界を切り開く、これまたドンピシャリな選曲の“荒狂曲"シンセカイ"”だ。音楽の歴史すべてが、今このロックな瞬間に味方しているような無敵感・絶頂感はどうだろう。そして、今回のステージを締め括るのは、BIGMAMAメンバーもがっつりと歌声を分かち合う“ Sweet Dreams” 。眠りについて、また夢から覚めても、この歓喜の瞬間をどうにか忘れずにいたい。そんな思いが溢れる、見事なカウントダウンであった。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。