最終日のASTRO ARENA、夕方から夜に差し掛かる時間帯に現れたのは、清 竜人がプロデューサー兼メンバーを務め、彼と彼の6人の妻たちで構成される異色アイドルユニット・清 竜人25。過去、このCOUNTDOWN JAPANにバンドスタイルや弾き語りスタイルで出演した清 竜人だが、まさかここで、アイドルユニットの一員としての彼を見ることになるとは思いもしなかった。

場内が暗転し、まずは6人の妻たち、清 咲乃、清 桃花、清 亜美、清 美咲、清 菜月、清 可恩が登場。その後、ゆっくりとステージ中央に歩み出た夫=清 竜人を迎え入れるひときわ大きな歓声! スポットライトが彼だけを照らすと、「もっと声出さんかいー!!」とオーディエンスを煽り、“ラブ♡ボクシング” “Will♡You♡Marry♡Me?”と、デビューシングルからの楽曲を連打する。6人の妻たちの愛らしく弾むヴォーカルと、繊細ながらも力強い清 竜人のヴォーカルが絡み合い会話のように曲が進む中、夫は妻を抱き寄せたり、スカートの裾に手をかけたり、と合間合間でイチャついている。“Will♡You♡Marry♡Me?”のサビ中には、7人で薬指に光る指輪を観客に見せつけるように左手を掲げ、最後は第6夫人の可恩をお姫様抱っこ。もちろん、妻たちは全員嬉しそうで、困ったようにはにかんだりもしている。そりゃそうか、夫婦だもの、と頭では理解しているのだが、ことこの日本において恋愛御法度が基本とされる「アイドル」という存在のステージでは、実に新鮮な光景である。

ここからは2015年2月18日発売のシングル表題曲“ABC じゃグッと来ない!!”を含む未発表の新曲を次々と披露していく清家。カラフルな、テーマパーク感溢れるポップチューンに乗って、ひとりしかいない夫を6人の妻がとり合ったりと、まさに彼らにしかできない、というステージを存分に展開していく。ポップな曲と見たこともないようなパフォーマンスに会場の熱量もぐんぐん高まっていき、これが最後の曲だと告げられた瞬間の「えー!!」という声の大きさは、既に次のフォーメーションに入っていた清 竜人も思わずその立ち位置から飛び出るほどであった。

思えば大抵の恋愛ソングは、どちらか一方からの視点しか歌われない。しかし、この清 竜人25という特殊な形態の中においては、お互いの気持ちどころか女性間の嫉妬やら結婚やら、もういろんなものを入れこむことができるし、歌だけでなくパフォーマンスと一緒に届けることでより違和感なく届けることもできる。しかもそれが、楽しいというのが大きい。2年前にリリースされた清 竜人のアルバム『MUSIC』の、ミュージカル調の楽曲群やパフォーマンスにこのステージの片鱗は見えていたが、それを更に研ぎ澄ませ、今ここに、ひとつのエンターテインメントとして完成させてしまった。「アイドル」という概念を覆すような、見事なアクトだった。(塚原彩弓)




この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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