登場するや否や、一気に湧き起こる大きな大きな歓声を、斎藤宏介(Vocal, Guitar)が両手いっぱい広げて受け止める。そして期待に満ちた会場に一瞬の静寂、その隙を突いて、斎藤のギターが空気を切り裂いた。1曲目は“crazy birthday”。早速、スタンドマイクのある定位置から大きくズレて、暴れまわる田淵智也(Bass)。よく弾ける、と感嘆する激しいアクションだ。「こんばんは! UNISON SQUARE GARDENです」と、斎藤が叫ぶと、“天国と地獄”へ。今年発表された、ユニゾン史上最もシンプルなロックアルバム『Catcher In The Spy』の中でも、群を抜いて攻撃的なこのロックナンバーは生で体感すると、もうかっこいいの一言だ。
「自由にやります!」。鋭い目つきで斎藤がそう宣言すると、“サイレンインザスパイ”や“等身大の地球”といったアッパーな楽曲を続々と畳みかけていく。どの曲もサビの爆発力が半端じゃない。“マスターボリューム”では田淵のキレのあるベースソロのあと、お立ち台に立ち、会場後方から照らすスポットを一身に浴びて、斎藤のギターソロ。続く“流れ星を撃ち落せ”では鈴木貴雄(Drums)が立ち上がってシンバルを叩き付け、スティックをくるりと回す。曲の展開に合わせてお客さんが息の合ったリアクションを挟む“場違いハミングバード”、そしてラストは“桜のあと(all quartets lead to the?)”。バンドの爆音をかき消すほどの、客席からのクラップと大合唱。斎藤が「また会おう」とだけ言い残してライブが終わると、誰もいないステージの前で、その余韻を楽しむようなお客さんの歌声がしばらく続いていた。
今回はこれまで以上に攻撃的なステージを繰り広げたUNISON SQUARE GARDEN。来年はいよいよ初の日本武道館公演に挑む!(秦理絵)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。