この2014年10月に、ベーシスト・Taisukeの脱退が報じられたAIR SWELL。hamaken(Guitar& Vocal)とYudai(Drums)はサポート・ベーシストを加えた編成で活動を続けており、今回は大晦日のMOON STAGEに立つ。hamakenが「一緒に遊べるかーっ!?」と呼び掛けて歓声が上がると、2014年リリースのミニ・アルバム『All Lead Tracks』のラストを飾っていた“No going back”が、エモーショナルなメロディと歌声の激流と化してオーディエンスを呑み込むのだった。hamakenは2本のスタンド・マイク間を移動して歌うのだが、3人のコンビネーションはタイトに引き締まったままだ。続く“Kick it Knock it !!”は、エレクトロコアの要素を備えるダイナミックなダンス・チューンであり、「ケガすんなよ、オイ!」と呼び掛けながら圧巻のコーラス・パートへと飛び込んでゆくさまが凄い。
「年に1回のお祭りです。そんなステージに立てて、本当に嬉しいです。最後までヨロシクーッ!!」とまっすぐな挨拶を投げ掛け、何よりもサウンドにモノを言わせるんだ、とばかりに繰り出されるのは、スラッシーなリフと高らかなハーモニーに彩られた“アンビヴァレンス”。そして、BLUE ENCOUNT、MY FIRST STORY、SWANKY DANKといった盟友たちとのスプリット・アルバム『BONEDS』に提供した“ゴブリンズ スケルツォ”は、Yudaiの小気味良くパーカッシヴなドラム・プレイやピアノのフレーズまでが弾ける、超ハイブリッドなダンス・ロックだ。「お前らの歌だよーっ!!」というシャウトから傾れ込む“FAST LANE”は、黄昏の情感を引き摺りながらも、一面のオーディエンスを跳ね上がらせていた。
hamakenは激動の2014年を振り返りつつ、「このステージで1年を締め括れて良かったし、みんなにも良い締め括りにして貰いたいと思って、俺ら3人、必死こいてやってます。最後に、前から後ろまで、みんな力貸してくれるか? 全然足んねえよ!! 欲張りだからさあ、そんなんじゃ全然満足出来ねえんだよな!」と煽り立て、フロアごと沸騰させる最後のナンバーは“バッドボーイズ セレナーデ”だ。どこまでも欲張りなハイブリッド・サウンドに、どこまでも欲張りなオーディエンスへの要求を上乗せして大きな歓喜をもたらすという、音楽と言葉に一貫した心意気を感じさせる熱演であった。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。