デビュー2年目にして、EARTH STAGEへと駆け上がってしまったKANA-BOON(昨年はGALAXY STAGE)。詰めかけたオーディエンスを前に小泉貴裕(Dr.)の4カウントが打ち鳴らされ、現在の彼らの快進撃とバンド・サウンドの高機動ぶりをストレートにぶつける“フルドライブ”でパフォーマンスをスタートだ。「CDJーーっ!!」と叫びながら満面の笑顔で歌い出す谷口鮪(Vo./Gt.)の声は、広大なフロアに響き渡るというよりも、一直線に貫く、そんな手応えである。ブルー、パープル、グリーンの照明を浴びて披露される“1.2. step to you”、そこから“ウォーリーヒーロー”と楽曲を繋ぐ一幕は、鮮烈だけれどもときに憂いを帯び、ときに焦燥感に染まるような、古賀隼斗(Gt./Cho.)のギター・サウンドが実に表情豊かだ。KANA-BOONのロックはいつだってこんなふうに、スピード感の中でも若い心象にぴったりと寄り添っている。
「CDJですよ。《カマせ yeah×3》ですよ」「Cはコマネチ、Dはダッフンダ、Jは女子十二楽坊」「違うでしょう、COUNTDOWN・女子十二楽坊でしょう」と谷口×飯田祐馬(Ba./Cho.)のコンビでひとしきりボケ倒しながらも、エリアを埋め尽くすオーディエンスに改めて感謝の言葉を伝え、煌めきながら広がるサウンドでそのオーディエンスを丸ごと覆い尽くす“結晶星”、そして心のすれ違いに苛立つ思いを一気に燃やし尽くすシングルのカップリング曲“ワカラズヤ”とパフォーマンスを続ける。新世代のロック・スタンダードをデザインする演奏の正確さと、その中で激しく生々しく躍動する人間味を、彼らKANA-BOONはなぜこんなにも見事に両立させてしまうのだろう。「ワン、ツー!」の声を誘う“ないものねだり”では、恒例のコール&レスポンスで「COUNTDOWN、COUNTDOWN、COUNTDOWN、COUNTDOWN JAPAN!!」と強引にフレーズを捩じ込んでくれるのだった。
「この日に呼んでくれたので、新曲をやろうかなと……」と披露されたのは、2015年1月21日リリース予定のニュー・アルバム『TIME』に収録される“スノーグローブ” だ。陽の光を乱反射するようなサウンド、そしてバンド一体型の練り込まれたリフによって歌詞を転がし、儚さの中にも変化を求める、そんなウインター・ソングである。そして盤石のクライマックスは、“盛者必衰の理、お断り”からの2014年4作目のシングル表題曲となった“シルエット”。記憶を少しずつ積み重ね、何かを忘れ、輪郭を思い出しながらまた走る。KANA-BOONのロックは、きっと2015年も、こんなふうに鮮やかな心象を描き続けてくれるのだろう。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。