佐野元春が、今年もTHE COYOTE BANDと共にCOUNTDOWN JAPANに帰って来た。闇の中から響き渡る、ドラムヘッドが心配になってしまうほどの強烈な8ビートに導かれ、今回のステージの幕を切って落とすのは“ナポレオンフィッシュと泳ぐ日”。ブラックのライダース・ジャケットにスリムなパンツ、鮮やかなグレーの髪を鬣のようになびかせる佐野は、見るからにヴァイタリティに満ち溢れ、ステージ上を練り歩きながらキレの良いラップ・パートも決めてゆく。思わず、拳を握りしめてしまう大熱演である。これが、佐野元春だ。

深沼元昭(G.)、藤田顕(G.)、高桑圭(B.)、渡辺シュンスケ(Key.)、小松シゲル(Dr.)という顔ぶれのTHE COYOTE BANDは、佐野のキャリアに多大な影響を受けて来た世代の辣腕ミュージシャンたちであり、アルバム『ZOOWY』を作り上げ、今秋には17都市19公演のツアーを巡って来たメンバーだ。「今日は、もうすぐ2014年も終わりということで、こんにちは2015年という感じで、楽しんでください」と佐野が告げて披露される“ポーラスタア”は、重厚なロック・サウンドの中でポエトリー・リーディングとメロディ歌唱の合間を綱渡りするような、熱を帯びた歌も織り込まれる、これぞ日本語ロックの開拓者=佐野元春の歌という手応えである。

「このフェスには、新しいジェネレーションがたくさん集まっていると聞いています。昔のクラシックだけじゃなくて、僕の新しい歌を聴いてください」。そう告げて披露されたのは、最新ツアーでも披露されていた新曲“優しい闇”だ。とめどない時の流れ、時代の変化をサウンドで描き出しながらも、それを華麗に、力強く乗りこなす姿こそが際立つナンバー。かっこいい。

「ロックンロールの魔法、古いものと新しいものを繋げてしまう。みんなは次にやる曲を知らないかも知れないけれど、あ、あの曲かなと思ったら、一緒に詩を歌ってください」と向かう“サムデイ”以降は、世代を越えて結集したTHE COYOTE BANDを誇りながら、エヴァーグリーンな名曲群が次々に放たれ、COSMO STAGEを逃れようのない興奮と感動に満たしていった。2015年にはデビュー35周年。佐野元春が見せるロック・ミュージックの魔法は、まだまだ解けることがなさそうだ。(小池宏和)




この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。

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