さあ、3日目GALAXY STAGEのアンカーを務めるのは、新世代のポップ・マエストロ集団=パスピエだ。スリリングなこと極まりない、絶妙のコンビネーションでイントロ・セッションを繰り出すと、大胡田なつき(Vocal)が「パスピエでーす! COUNTDOWN、よろしくね」と挨拶して“トロイメライ”からパフォーマンススタートである。華やかなシンセサウンドと愛くるしい歌声、そして昂る三澤勝洸(Guitar)のギタープレイといったふうに、聴き入れば聴き入るほど練り込まれたアレンジ、なのにとっつき易さを見失わないパスピエのバランス感覚には溜息が漏れる。ライヴならではの迫力サウンドでアップリフティングに披露される“はいからさん”から、成田ハネダ(Keyboard)が思うさま鍵盤を弾き倒すダンス・チューン“MATATABISTEP”にかけては、オーディエンスを一様に跳ね上がらせてしまっていた。
「しかし、GALAXY STAGEは広いですねえ。この場所で皆さんと楽しむことが出来て本当に嬉しいです」「2014年のうち、皆さんにとっても私たちにとっても、最高の思い出となるように頑張りますので、最後までよろしくお願いします」と大胡田が告げて、今度は“とおりゃんせ”。恐ろしくファンキーで力強い音楽だが、ユニークな言葉のフックが耳をくすぐる。パスピエは楽曲制作も演奏もリスナーの楽しみに徹する、極めてプロフェッショナルな集団だが、ライヴでは本人たちが率先して楽しんでいる様子が伝わってくる。配信シングル曲“贅沢ないいわけ”は賑々しくクラップを誘い、オリエンタルな旋律をエッジの鋭いギターサウンドで描き出す“チャイナタウン”へと繋げてゆく。露崎義邦(Bass)のプレイに拍車がかかる“S.S”を経て、本編ラストを飾るナンバーは“シネマ”。《奇想天外摩訶不思議な世界へのパスポート》という歌詞は、むしろパスピエの音楽そのものを説明するフレーズだろう。
アンコールに応えて再登場すると、成田は視界一杯のオーディエンスの様子を再確認しつつ手を振り、かつてのCOUNTDOWN JAPANでバンドの音楽に刺激を受け、パスピエの結成に踏み切ったことを振り返る。そして「ロック・フェスがいろいろある中で、本当に音楽好きがたくさん集まっているということに、やる側としてもただただ驚いていて。シーンを動かすのは皆さんだと思うので、来年以降また、音楽シーンを盛り上げていきましょう!」と告げ、今度は大胡田が「せっかくアンコール貰ったんで、私たちの大切な曲をやります!」と“最終電車”のパフォーマンスに向かう。さらには華々しく“電波ジャック”も繰り出すと、長く続く歓声と拍手に見送られ、パスピエはステージを後にするのだった。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した別冊付録を、「ROCKIN'ON JAPAN3月号(1/30発売)」に封入! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。