さよなら、また今度ね | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014

さあ、WING TENTにはさよなら、また今度ねの４人が姿を見せ、集まったオーディエンスの喝采の中に“信号の奴”を切り出しながら菅原達也（ボーカル）と佐伯香織（ベース）の瑞々しい歌声を並走させる。菅原の景気の良い、そしていつもながらにエモーショナルな挨拶を挟み、続いてはサウンド・チェック時から発声練習に余念のなかった佐伯のリード・ヴォーカルから始まる“ミルクアイス”へ。渋谷悠（ドラム）は暑さにもめげずカエルの被り物をしてドッタンバッタンとビートを刻み、菊地椋介（ギター）のクリアなギターの旋律はWING TENTに一陣の風を運ぶようだ。「今日はいつもの倍ぐらいの人が集まってくれて、もう興奮と、興奮と……興奮ですね！　興奮で足りますかね！」とまくしたてる菅原は、“2秒で手に入る”でボ・ディドリー・モデルの四角いギターを搔き毟りながらけたたましいキーボードも弾き倒すというハッスルぶりだ。

触れる者の視界をぐにゃりと捩じ曲げてしまう、不思議な歌詞世界を誇るさよ今だが、“素通り”から立ち上る哀愁と猛烈にヘヴィな轟音のエモーションは、オーディエンスを釘付けにしてしまうほど真に迫っていた。「ありがとうー楽しいですー！」と喜びの声を上げる菅原。ここで佐伯は新たなミニ・アルバムのリリース決定を報告し、９月のツアーについても告知。そして披露されるのは、来る新作に収録されているという“クラシックダンサー”。本邦初公開となる１曲で、“素通り”の迫力サウンドをそのまま加速させた痛快極まりないロックンロールの一時だ。その後にも“瑠璃色、息白く”から、オーディエンスの好反応に「すげえ！　鳥肌立った！」と告げながらクリスピーなヴォーカルを転がす“僕あたしあなた君”と、カラフルにして切迫感に満ちたステージを繰り広げて行った。ライヴ・アクトとしての成長ぶりをまざまざと見せつける、豪快な音像が最高であった。（小池宏和）