真夏の涼しい昼下がりに登場したのは、昨年にデビュー10周年、今年は結成15周年を迎えるスキマスイッチ。総勢6名のバンド・メンバーの中央、グランド・ピアノの美しい音色を奏でる常田真太郎(Piano, Chorus, Organ, Other instruments and total sound treatment)のイントロに導かれ、大橋卓弥(Vocal, Guitar, Harmonica)が穏やかだがしっかりとオーディエンスのハートを掌握する歌声を放ちながら、10年前の名シングル“奏(かなで)”を披露する。みっちみちに埋まったLAKE STAGEが、じっ、と聴き入るオーディエンスの集中力に満たされるさまは実に壮観。続いて、軽やかに弾けるバンド・アンサンブルに大橋は足を蹴り上げ、前線に躍り出て全身から絞り出すような歌声で届けてくるのは“ユリーカ”である。想像力を宇宙スケールへと拡大する鍵としてのポップ・ミュージック。そこから、今度は大橋がアコースティック・ギターを奏で、瑞々しいファンキー・グルーヴの中でクリスピーな節回しを披露するのは、最新シングル『Ah Yeah!!』のカップリング曲“夏のコスモナウト ~インターハイ応援歌~”だ。これまた壮大なイメージを捕まえようとするナンバー。決して音楽の敷居は高くないのに、楽々とオーディエンスを想像力の彼方へと連れ去るさまは、さすがスキマスイッチといったところ。
「涼しくて、歌っていて気持ちいいです! すごい人ですよ! 初めましての人もいると思いますけど。僕たちは、たしか4年振りの出演で……(大橋)」(注:正しくは3年振りです)「そうですね、2度目ましてですね(常田)」といったふうに、リラックスしつつも絶妙な掛け合いMCを届けると、ここでTVアニメ『ハイキュー!!』のオープニング・テーマ曲でもある“Ah Yeah!!”を投下だ。ひたむきな意志の形をフィジカルに叩き込む、力強いバンド・サウンドがここまでで最大の盛り上がりを見せ、一面のオーディエンスが沸き返る。そしてまたもやキャリアを振り返るように、常田のピアノ・プレイが一貫して躍動しまくる恋のエール“ガラナ”を放つと、「もうひと盛り上がり行きますかー!?」と瞬く間に辿り着いてしまったクライマックスは、オーディエンスの高らかな歌声を誘いながらの“全力少年”だ。昂る心と弾ける肉体、無限に広がる想像力をまとめて投げ掛ける、余りにも懐の深いポップ・ミュージックのひとときであった。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。