しっとりとしたピアノの旋律で始まるSEに雨音が混ざる。17時前のSOUND OF FORESTにはきのこ帝国が登場。ROCK IN JAPAN FESTIVALには初出場である。佐藤(Gt,Vo)の静かなタイトルコールが始まりを告げた1曲目は“海と花束”。初っ端から熱量全開のバンドサウンドのなかで佐藤の透き通った声が存在感を見せる。西村”コン”(Dr)が曲間をリズムで繋げるなか、「みなさん、はじめまして。きのこ帝国というバンドです。よろしくお願いします!」とあーちゃん(Gt)が挨拶。彼女の口からバンドが水面下で活動をしているという旨が伝えられるとオーディエンスは喜びを声で表した。その流れを受けて9月9日にリリースされるシングルから“東京”を披露。願いの歌のように放たれた《あなたに出会えたこの町の名は東京》というフレーズが空に覆いかぶさる雲を突き抜けて、どこまでも上へ上へと伸びていく。そして間髪入れずに続けた“国道スロープ”では疾走感満天の音世界へ。シューゲイズ的なアプローチもギターロック的なアプローチも全部ひっくるめて「きのこ帝国の音」として違和感なく成立させ、オーディエンスの集中力と注目をステージ上に集めては決して離さない4人の手腕はさすがだ。“パラノイドパレード”で佐藤が唄う夏の情景がファルセットに乗って羽ばたくと、「また会いましょう。ありがとう!」と“明日にはすべてが終わるとして”がラストを彩る。無垢な歌声を放つ佐藤の熱唱。そしてその後ろでは、あーちゃん/西村/谷口滋昭(Ba)が頭を振りながら、その歌声を押し上げるように全身全霊で楽器を掻き鳴らす。その姿に、どこまでも広がるバンドの可能性を垣間見たのだった。(蜂須賀ちなみ)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。