前アクトのderonderonderonは、シンセサイザーの鍵盤が放つ変幻自在で多彩な音色をWING TENTに散りばめたが、このテスラは泣かない。が武器とするのは、音色自体は変わらずとも芯のある力強さを秘めたピアノの響き。その旋律は、彼らの熱情的なダンスグルーヴに、突き刺さるような冷静さを投下する。そんな冷静と情熱が混在し、互いに共鳴する絶妙なライヴアクトとなった。
SEが鳴り出した途端に会場を埋め尽くしたオーディエンスのクラップの音量で、このバンドの登場をどれだけ望んでいたのかが分かった。「みなさん準備はいいですか? ロックインジャパン!」という村上学(Vo/G)の言葉を合図に、ドラマチックに始まったのは“cold girl lost fiction”! 吉牟田直和(B)と實吉祐一(Dr)のリズム隊が生み出す重厚なグルーブが足元を直に揺らしてくる。そのまま、目まぐるしく展開していく“Cry Cry Cry”へと続くと、《Cry Cry Cry》と悲痛にも聴こえるトーンで叫ぶ飯野桃子(Piano/Cho)の声とピアノの旋律が耳に胸に刺さる。
そんな独創的なステージを作り上げながら「何度もこのステージを夢に見てここまでやってきました」と話す村上の、「どうかめんどくさがらずに聴いてもらえますか?」という振りから始まった“めんどくせえ”では《もうめんどくせーな》のコールアンドレスポンスで会場がひとつになる。さらに飯野の芯のあるピアノフレーズが導く“Lie to myself”の激情的なワルツが、一気にオーディエンスを叙情的な世界へと連れ込むのだ。
9月から始まるツアーを控えて、気合と自信に溢れた、堂々たるステージを披露した彼ら。「最後はロックナンバーをやって帰ります。まだまだ熱くなってもらっていいですか?……踊ろうぜ!」という村上のMCから始まった“アンダーソン”、そしてラストの“Someday”まで、高揚感そのままに走り抜けていった。(峯岸利恵)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。