ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014は2日目もピーカンの天気! 木々の間を涼しい風が吹き抜けるSOUND OF FORESTに登場するのは、昨年に引き続いての当ステージ出演となるtricotだ。まずはキダ モティフォ(Gt&Cho)のみがオン・ステージ、ゆっくりと奏でられる“pool side”の調べに乗せて他のメンバーが現れるというしっとりとした幕開け。が、そこから“POOL”に流れると、性急で暴力的なアンサンブルが一気呵成に走り出す。怒号のようなオーディエンスの大歓声を受け止めながら“おもてなし”へと雪崩れ込めば、ソリッドなアンサンブルと伸びやかなメロディの緩急で巨大な高揚感を生み出していく。今年3月にドラムのkomaki♂が脱退、それ以降はサポート・ドラマーに山口美代子(DETROITSEVEN)を迎えた編成でライヴを行っている彼女達であるが、tricotの真骨頂とも言える、鋭利さとフリーキーさが共存する変幻自在のバンド・サウンドが、この編成でも十分な破壊力を持っていることを証明するような名シーンだった。
「7月にヨーロッパに行って来て、帰国一発目のライヴです。どうぞよろしくお願いします!」というキダの挨拶から“おちゃんせんすぅす”に突入すれば、上下にジャンプする人/左右に揺れる人……と思い思いの方法でサウンドを受け止めるオーディエンスの姿がそこかしこに。変調と変拍子が繰り返され、彼女たちの一筋縄ではいかないクリエイティヴィティが炸裂したこの曲の特異性がよく分かる光景である。そこからスロー・チューン“アナメイン”へと繋げ、中嶋イッキュウ (Vo&Gt)の祈りに満ちたヴォーカルが浮遊する大海原へとフィールドを一気に連れ去ってしまう展開もニクい。「みんな突破したいものありますか? この曲で一緒に破りたいものを破っていきましょう!」という中嶋の言葉とともにスタートした8月6日リリースの新曲“Break”では、中嶋とヒロミ・ヒロヒロ(Ba&Cho)による重層的なハーモニーが雲ひとつない青空へと上昇。エモーショナルな音と歌の響きで、tricotの新境地を力強く提示していく4人であった。
「今日は特別な夏ですか? じゃあ皆でスーパーサマーと叫びましょう!」という中嶋の扇動から盛大なコール&レスポンスが炸裂した“スーパーサマー”、ひときわ大きなオイ・コールが沸き起こった必殺曲“99.974℃”の連打で大沸騰! そして「日本のロックを、日本の祭りを見せたるぜー!」というキダの絶叫からスタートした“MATSURI”で、狂騒的な盛り上がりを生み出してフィニッシュ。ハンドマイクを握ってステージを転げ回りながら繰り出された中嶋のリリックが、殺傷力抜群のサウンドとともに、炎天下のフィールドに熱く、鋭く突き刺さっていった。(齋藤美穂)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。