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GRASS STAGE三番手はくるり! 岸田 繁(Vocal, Guitar)/佐藤 征史(Bass, Vocal)/ファンファン(Trumpet, Keyboard, Vocal)に加えて福田洋子(Dr)/山本幹宗(G)/奥野真哉(Key)/ゴンドウトモヒコ(Euphonium)という7人編成でステージに登場すると、ドラマチックな展開に富んだ“Morning Paper”を豊潤かつ鮮烈に響かせていく。ファンファン&ゴンドウが奏でるフレーズの晴れやかな調べが、ひたちなかの広大な空間をあたたかく、力強く包み込んでいく。音楽それ自体が極上の魔法であることを証明するように、“ブレーメン”のやわらかなアンサンブルが広がり、さらに“WORLD’S END SUPERNOVA”へ。夏風を心地好く刻む岸田のギター・カッティングと奥野の奏でるクラヴィネットの音色、センチメンタル&メランコリックなメロディを歌い上げる岸田・佐藤・ファンファンのコーラス・ワーク……一切の虚飾も淀みもない高純度のサウンドスケープが、GRASS STAGEを刻一刻と濃密な歓喜で満たしていく。

続く“三日月”のあたりで、フィールドを吹き抜ける風に雨粒が混じり始めたが、オーディエンスは変わらずくるりの鳴らす一音一音を全身で謳歌している。「新曲を2曲……普通なやつと変なやつを続けてやるんで(笑)」という岸田の言葉から、まずは“loveless”へ。《悲しみの時代を 生きることは それぞれ/例えようのない 愛を生むのさ》という詞世界とともに穏やかに広がる音世界が、一歩また一歩と祝祭感の頂へと昇り詰めていく。そして、9月17日リリースのニュー・アルバム『THE PIER』にも収録される、岸田いわく「変なやつ」=“Liberty&Gravity”。エレキ・シタールに持ち替えた岸田のミステリアスなバッキングとホーン・セクションのふくよかな響きが、佐藤&福田のタイトなリズムの上で変幻自在に咲き乱れ、奥野のオルガンと岸田の歌声が曇り空の風景を目映く塗り替え、「よいしょっ!」という合いの手が祭り囃子的な躍動感を生み出していく……まるっきり対照的な2つの楽曲が、くるりの「今」の音楽的な充実感と尽きることなく沸き立つ探究心をリアルに物語っている。

奥野:アコーディオン/山本:キーボードの編成で色彩感豊かに鳴らす“ハヴェルカ”のロシア民謡的な高揚感。岸田&山本のコード・ストロークをきっかけに、世界丸ごと抱き締めるようなスケールの音像と目映い疾走感を描き出した“everybody feels the same”……「熱狂」や「狂騒」ではなく、身体の内側から沸き上がってくる喜びに誰もが酔いしれた、至上のステージだった。「風邪ひかんように最後まで楽しんで」と軽やかに岸田が呼びかけた後、最後に披露したのは名曲“東京”。7人の音と歌声がひときわ美しく空気を震わせて――終了。深々とフィールドへ向けて一礼する7人に、高らかな拍手が響き渡った。(高橋智樹)





この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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