「15歳のときに初めて夏フェスに来ました。(ライヴを観て)かっこいいとかより、なぜか夏フェスに出たいと思った。それで高校卒業して18歳でバンドを組みました」と、山本 剛義 (ボーカル、ギター)は感慨深げに語っていた。今年の4月24日からミラーマン改め、ボールズとして始動した5人組。ゆっくりとステージにメンバーが出てくると、フロント4人の内3人は短パン姿で、ひょっとしたらお客さんの中にまぎれても気付かないほどラフな服装だ。まさに夏フェスっぽい格好で、その距離感のない雰囲気が音楽にも如実に出ていた。人懐こく、フレンドリーで、初めて出会った気がしない親密なサウンドを振りまく。「ひたちなか、行けますか? ボールズ行きます!」と山本が言うと、"退屈な遊び"で幕を開けた。心地いいギターに鳴り響き、ベースはブンブンうねりを上げ、歌心が真ん中にドンとあるポピュラリティに優れたロック・サウンドを搔き鳴らす。それからワン・ツー・スリー!とカウントした後に"SING A SONG GIRL"をプレイした。ワウを効かせた音色とキラキラした繊細なフレーズの対照的なツイン・ギターを大きなフックに、ファンキーな躍動感が運んでいた。歌詞がはっきりと聴こえる山本の朴訥としたヴォーカルが効果的な"通り雨"も良かった。とりわけ温かく切ないメロディが印象的だった。オルゴールのような耳に優しい旋律で迫る"君はまぼろし"も、このバンドのポテンシャルの高さを窺わせた。7月9日にデビュー・アルバム『スポットライト』を出したことを告げると、その後に「あんま言いたくないんだけど、絆が深まってきた。全員と寝れるようになったからね」と、山本は照れ臭そうに語っていた。そのMCがメンバーの何かに火を付けたのか、それはわからないけれど、残り2曲"Akutagawa trip"、"メルトサマー"ではアグレッシヴな演奏を見せつける。山本はタンバリンを叩き、前のめりになってシャウト気味に歌い上げる。ほかのメンバーもどんどん体を激しく揺らし、熱のこもったプレイでWING TENTの観客を魅了していた。(荒金良介)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。