夕暮れのPARK STAGEを妖しく彩ってくれたのは、昨年12月に結成20周年を迎えたPlastic Tree。2年ぶりのROCK IN JAPAN FESTIVAL出演である。お馴染みマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの“Only Shallow”のSEに乗って登場したメンバー。佐藤ケンケン(Dr)のカウントを合図にナカヤマアキラ(G)の美しいギターの調べが奏でられ、“1999”からライヴスタート。今にも消え入りそうな儚さを持った有村竜太朗(Vo/G)のドリーミーな歌声と、終盤に向かってじわじわと熱量を増していくバンドの分厚いグルーヴが、PARK STAGEを幻惑的なムードで包んでいく。一転して鋭利でノイジーなサウンドが叩きつけられた“曲論”では、イントロから軽快なハンドクラップを誘引。佐藤&長谷川正(B)のリズム隊によるタイトなビートで煽り立て、フィールドの空気をスパークさせていった。
「やあやあ」、「やあやあやあ」という有村とオーディエンスの恒例の掛け合いが行われた後は、渾身のラウド・チューン“メランコリック”へ。ソリッドな音塊と熱っぽい有村の絶唱が暴風雨のように駆け巡り、フィールド一丸のオイ・コールを導き出していく。そして「遊ぼうぜー!」という有村の絶叫から突入したのは、新曲“マイム”! 鮮烈な電子音と肉感的なグルーヴが入り乱れ、プラの新境地とも言えるようなエレクトリカルな音像を描き出すこの曲。イントロから鋼鉄リフと4つ打ちビートが届けられ、ハンドマイク片手に飛び跳ねる有村がエモーショナルな歌声を響かせると、一丸のハイジャンプに包まれたフィールドのヴォルテージは最高潮を迎えた。そしてラストを飾ったのは“リプレイ”。シューゲイズ直系のサウンドと《廻る、廻る》とリピートする歌詞により、時空を超えていくような壮大なトリップ感を描き出し、幻想的なフィナーレを迎えた。たった5曲でありながら、どこまでも鮮烈なインパクトと、深い余韻を残したステージ。「今日は本当にありがとう。楽しんでいってください」とステージを去る有村に、温かな拍手が送られた。(齋藤美穂)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。