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ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014 公式サイト
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入念なサウンドチェックを経て登場したのは、都内を中心に活動するフォーク・ロック楽団、森は生きている。サポート・ベーシストとヴィブラフォン奏者を加えた、7人編成でのステージだ。

まず明かしてしまうと、セットリストに記されていたのは、たった1曲、“煙夜の夢”。フェスでの30分のステージ、それも、ROCK IN JAPAN FESTIVAL初登場にして、壮大なる組曲をぶちかましてしまおうというわけ。この時点では観客はそれを知る由もない。ステージに現われた7人は、チューニングをしたり、軽く音合わせでもするように、ユルいセッションをスタートする。ベースとドラムが、ビートを刻み、ギターやパーカッション、鍵盤がラフなスケッチのように柔らかなラインを描いていく。そのラインは次第に太く、鮮やかとなって、いつのまにかサッと絵筆をふるったように色づけられていった。固唾を飲んで見守る観客も、何かがはじまっている!という好奇心で熱を帯びていく。

中盤、竹川悟史(Vo&G)の静かなハミングがはじまり、またドラマティックなドラミングを合図に、シーンは劇的に移り変わっていく。トランペットのインプロヴィゼーションに誘われ、水彩画のような牧歌的世界から、一気に宇宙空間へと飛ばされて、荘厳な音が鳴り響くなかを観客は宇宙遊泳――もう、されるがままといったふうだ。

この後も、ドラスティックにシーンが変わっていく。サウンドは、さまざまなシーンによる奇妙でいびつなパッチワークとなっていて、それでいて夢のなかのようになんら違和感のないワクワクするようなストーリーが展開されている。そんな音にピュアに身を任せて、ゆらりゆらりと体を揺らし、頭でリズムを刻んで、心地好く陶酔している観客たち。終盤は、森は生きているの真骨頂と言えるような、重厚で、いぶし銀的なグルーヴでさらに会場をどっぷりと酔わせていった。MCはなし。でも音楽は饒舌だった。それにしても一体、この30分間、どこに連れていかれていたんだろう?(吉羽 さおり)





この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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