開演3分前、ぞろぞろと大所帯のソウル・フラワー・ユニオンのメンバーが揃うと、「公開サウンド・チェック、見ないように」と中川敬(唄、ギター、三線)は軽いジャブを飛ばし、客の笑いを誘う。「人生は祭りやー! どうせアホなんやから、とことんアホになれー!」と中川が言うと、そのリハの流れで切れ目なく本番に突入する離れ業を見せ、“踊れ!踊らされる前に”でスタートを切った。また、チンドン奏者兼コーラスに元メンバー・うつみようこを招いていることを伝えると、続く“風の市”でPARK STAGEはドンチャン騒ぎの様相を呈す。また“満月の夕”では、井戸の底から汲み上げたようなディープな中川の歌心に痺れた。この場を瞬時に哀愁カラーに染め上げる手腕はさすがの一言である。そして、ここで新曲“グラウンド・ゼロ”をプレイ。カラフルなキーボードの音色、大地を揺さぶるパワフルなうつみようこのコーラスを追い風に、堂々と歌い上げる中川の力強いヴォーカルは圧巻。曲調も奇を衒わない王道ナンバーだ。これは名曲ではないか。「5分だけ、ニューエスト・モデルに戻ろう!」と中川が言うと、“外交不能症”ではまるで水を得た魚のように勢いづく。“月光ファンファーレ”を演奏した後、ラスト曲“海行かば 山行かば 踊るかばね”がプレイされた。「エラヤッチャ、エラヤッチャ、ヨイヨイヨイヨイ!」、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損!」とお祭り調に中川が煽り、PARK STAGEはクライマックスへ。最後に「良いお年を!」と言い放った中川。極上のバンド・アンサンブルに酔いしれた観客、その満足げな表情が印象的だった。(荒金良介)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。