ステージの照明がまばゆく映える時間帯。ここで登場するのは、京都発、平均年齢20歳のバンド、HAPPY。彼らの音楽を聴くと、このバンド名にも納得させられる。「どうもHAPPYです、よろしくお願いします」(Alec/Vo&G)というあいさつからいきなりHAPPYワールドへと突入。Alecのハイトーン・ヴォーカルと、こちらもハイトーンのRic(Vo&Syn)、Bob(Dr&Vo)のコーラスが、ファンタジックにからんでいく“Magic”。60、70年代ロック、サイケデリック・ロックをベースに夢見心地な空気を編みあげていく。ルーツは20歳らしからぬものがあって、なんとも懐かしい手触りのロックンロールなんだけれども、これがちっとも懐古的じゃない。リスナーへのフックや仕掛け的としてのヴィンテージ感じゃなく、彼らにとってはただただこの音楽が真新しくて、美しくて、刺激的なものなんだろう。そういう無邪気な音への熱を感じる。
カントリー調の軽快なロックンロール“Run Run Run”での、ルーズなアンサンブルも独特のグルーヴを生んでいる。荒削りな部分やちょっとしたいびつさも、曲の味付けとなっているし、それが5人の気持ちのいいタイム感となっている。“Wake Up”では、スペイシーなシンセのノイズから、ドカドカと派手なドラムが打ち鳴らされて、どんどんカラフルに世界が色づけられいく。また、“Time Will Go On”では、奇抜なポップさとコーラスで、深くドリーミィな世界へと観客を誘う。甘いサウンドに浸かって、酔っ払っているような、ほんわかと時が流れているのだ。そしてラストはダンサブルなシンセ・ポップ“Lift This Weight”。ベースのSyu(B&Syn)もシンセを弾き、Chew(G&Syn)もエフェクティヴにギターを奏でて、最後の魔法をかけていった。つい数日前、1stアルバム『HELLO』をリリースしたばかりの、HAPPY。こんな天然素材のバンドがこれからどんなふうに大きくなっていくのか、とても楽しみだ。(吉羽 さおり)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。