まずオープニングは、細美武士(Vocal&Guitar)の「ウァーッ!!」と昂ったシャウトから、一息にパフォーマンスの扉をこじ開けるようなアンサンブルと共に“Storm Racers”を切り出す。その怪物的なバンド・サウンドとともに、the HIATUSの音楽と歌は、触れる者に想像を超えるような体験をもたらしてくれる。春から繰り広げられて来た「Keeper Of The Flame Tour 2014」は12月に日本武道館での追加公演も決定しているが、どこまでも迷いのない最新型the HIATUSを伝える楽曲群が次々と披露される。そのエクスペリメンタルでロマンチックな響きは、楽曲が鳴り止む度に割れんばかりの喝采を巻き起こすのだ。かけがえのない過去から現在を一本の線で繋ぎ、その先の未来にまで物語を送り届けるような“Something Ever After”の普遍的な美しさは、細美の「ひたちなかーっ!!」というシャウトも相まって、静かに、しかし激しく、胸を揺さぶるパフォーマンスになっていった。
そして白眉は“Horse Riding”である。細美が弾く美しいアコギのリフレインと、とめどなく溢れ出す伊澤 一葉(Keyboard)のピアノの旋律、柏倉 隆史(Drums)のしなやかなビートにウエノコウジ(Bass)の力強く信頼感抜群なフレーズ、そしてぽっかりと浮かび上がるmasasucks(Guitar)のサウンドが、それぞれ開放的に鳴り響きながら《Revolution needs a soundtrack》という意志の形へと収斂されてゆくさまは、何度触れても目頭が熱くなる。そしてthe HIATUSのアンサンブルは再び高い熱量を纏い始め、雨の中のオーディエンスをさらに跳ね上がらせる。夕暮れのひたちなかに、熱唱を放った細美は、最後に「ありがとうございましたーっ!!」と渾身の叫びを上げ、“紺碧の夜に”へと向かって行った。本当にthe HIATUSは、なんて激しく、なんて優しい音楽を届けるバンドなのだろう。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。