LAKE STAGEエリアを埋め尽くさんばかりの人、人、人。肌を震わせるほどの大歓声&手拍子で迎え入れられるのは、back numberだ。清水 依与吏(Vo.Gu.)、小島 和也(Ba.Cho.)、栗原 寿(Dr.)のメンバー3人を中心に、総勢6名の編成でポジションに付くと、清水は今にも大歓声を押し返してしまいそうな雄々しい第一声「ROCK IN JAPAAAN!!!」を投げ掛けては“青い春”を歌い出し、《また踊りながら 必死で生きているんだ 理想の未来なんて 用意されていない でもその中で願ってるのさ 光に包まれるその日々を》といった歌詞と強靭なダンス・グルーヴでステージに立つ意味を表明してしまう。立て続けに、3月にリリースされた目下の最新アルバム『ラブストーリー』からはとめどない欲求が迸る“MOTTO”を叩き付け、爆発的なヴォルテージでパフォーマンスを加速させてゆくのだった。
ステージ上のメンバーが率先して跳ね上がりながら、ウェットな情感だだ漏れのロック・チューンを届けるback numberは、まるでオーディエンスの身体そのものに、感情の形を叩き込むようでさえある。「ROCK IN JAPAN 2014、俺たちがback numberですヨロシクー!!」「では続きまして、失恋の歌をお願いします……お願いしますって、自分でやるんだけどさ(笑)」。清水がそんなふうに語って披露されるのは、シングル曲“繋いだ手から”だ。終わってしまった恋の物語が、なぜこんなにも瑞々しく鳴り響いてしまうのだろう。back numberの歌は、記憶を色褪せない写真のように、恐るべき執念でファイルしてしまう。「音源だけで聴いてくれてた人は、たぶん夏の野外が似合わないであろうback numberを、よくぞ観に来て下さいました!」「ここに来たことは絶対に後悔させないから。次に会うときは、違うステージだと思うけど」。ひたちなかに立つ度に、そんなふうに不敵に言い放ってみせる清水を駆り立てているのも、歌に込められた執念に近い思いではないだろうか。
今回もそんな数々の物語を刻み付けた彼らが、最後に披露するのは“スーパースターになったら”。無数のオーディエンスがバンド演奏に参加するように手を打ち鳴らし、跳ね上がっては歌に込められた思いを支える。プライヴェートな思いをこれだけの人が支持する光景って、それだけで大変なことが起きている気持ちにさせられるものだ。オーディエンスの大合唱を浴びて、清水は「しあわせだー!!」と絶叫しながらこの曲をフィニッシュすると、最後には念を押すように「来年、GRASS STAGEで会いましょう。ありがとうございました!」と言い残してステージを後にするのだった。(小池宏和)
この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。