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3日目GRASS STAGEのクローザーを務めるのは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONだ。お馴染みザ・ストーン・ローゼズ“ドライヴィング・サウス”のSEに乗って颯爽と姿を見せた4人は、闇に沈みゆく空間に波紋を広げるようなギター・イントロから“ソラニン”をドラマティックに鳴り響かせてゆく。鮮烈だが過剰な力みはない。最高のオープニングである。伊地知潔(Drums)がタメをしっかりと効かせたビートを刻み、そこに喜多建介(G & Vo)と後藤正文(Vo & G)のギター・フレーズが、山田貴洋(B & Vo)のベース・ラインが丹念に編み込まれてゆく。《存在証明を鳴らせ》と歌われる“サイレン”だ。更には不穏な音響を残しながら音を絡ませ、切実な願いをダンサブルなロック・サウンドが運ぶ“No.9”。なんだろう、性急さや焦燥感はない。ただ、丁寧に披露されてゆく一曲一曲が、異様に充実した、確かな手応えを残すステージになっている。

「どうもこんばんは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONです!」という言葉を合図に、4人で迫力の音出しを一発。互いの呼吸を確かめ合うようにして、今度は“フラッシュバック”から“リライト”を一気にプレイしてゆく。ここで音の体感温度も、ゴッチの歌声のヴォルテージも、ぐっと上昇していった。そして“センスレス”が《僕はずっと/想いをそっと此処で歌うから/君は消さないでいてよ》と届けられ、“君という花”ではもう、迷いなく放たれるリフ一発だけで泣きそうになってしまった。

ギターとギターとベースとドラムスと、歌。その場限りの勢いだけじゃない、4人が丹精込めて紡ぎ上げ、鳴らし、この場所に永遠に残してゆくような手応えのロックがあった。現代のクラシックの響きだった。「やっぱり音楽ってさあ、やっててもそうだし、聴いててもそうなんだけど、生き返る感じがするんだよね。マキシマム ザ ホルモン『ぶっ生き返す』みたいな(笑)。みんなもそういう週末を過ごしてください」。ゴッチは本編最後にそう告げて、音が眩しいぐらい豊かなハーモニーに彩られた“今を生きて”を届けてくれるのだった。アンコールの催促に応えると「ちょっと1曲、俺たちが大好きなバンドの曲をやります」と披露されたのは、なんとNUMBER GIRLの“透明少女”だ。いや、これが余りにもアジカンらしい、アジカン色の愛に満ちたカヴァーになっている。

「ありがとう。本当に幸せなことだと思うよ、こんなに人が集まって音楽が出来るなんて」ーーゴッチが再びこの場所に残すように静かに語る。そして“転がる岩、君に朝が降る”を披露し、4人は揃って挨拶をして去って行った。何もかもが大切に残されたステージだけに、余韻からなかなか抜け出せない。最高のハイライトだったし、これこそが「3日目」のフィナーレだという幕切れだったが、今年はいよいよ「4日目」を迎えることになる。ROCK IN JAPAN FESTIVALにとって未知の領域。そこにはきっと、未知の喜びが待っているはずだ。(小池宏和)



この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」は9月13日発売予定です! 全ライヴ・アクトのセットリストは、そちらに掲載されます。
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