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WING TENT 11:10

灼熱の情熱と響き合った「生きるための歌」

「私は、生きるために、歌いに来ました」
朝から灼熱のWING TENTの舞台で、「酸欠少女」さユりは観客へ静かに、決然と語りかけていた。 ワンマンライブでは映像演出を駆使したコンセプチュアルなステージも展開している「2.5次元パラレルシンガーソングライター」=さユりだが、ギミック一切なしのフェスのステージで、ハイパーなアンサンブルをも力強く牽引するような生身の歌声と演奏を聴かせていく彼女の姿は、狂おしいほどにリアルな切迫感と訴求力にあふれていた。

ROCK IN JAPAN FESTIVAL初出演のさユり、ガスマスク姿のサポートメンバーとともに登場すると、イエロートップのアコギをかき鳴らしながら最新配信シングル曲“るーららるーらーるららるーらー”、さらに“蜂と見世物”を熱唱。灼熱のWING TENTが張り詰めた高揚感で満たされていく。「私は、自分のことをできそこないって思ってます。でも、それでも明日はくるし、生きなくちゃいけないし。『それでも、それでも』っていう想いで、この曲を作りました」と歌い上げたのは、メジャーデビュー曲“ミカヅキ”。生命の存在証明そのもののような鮮烈な歌が、WING TENT満場の魂と響き合って、熱気を刻一刻と高めていく。

“それは小さな光のような”で雄大なスケールの世界を描き上げた後、テレキャスに持ち替えてマイクを手にしたさユり。「みなさん今楽しいですか? 生きてて苦しいこといっぱいありませんか?」と激しく叫び煽りながら叩きつけたのは“人間椅子”。現実というカオスの中で一筋の光を激しく求めるような絶唱に応えて、一面に拳が突き上がっていった。(高橋智樹)

この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2016」は9月16日発売予定です! 全ライブアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。