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HILLSIDE STAGE 17:30

希望に満ちた明日に憧れて

4日間にわたって熱演が繰り広げられたHILLSIDE STAGEを締め括るのはSuck a Stew Dryだ。年内でフセタツアキ(G,Cho)の脱退が発表されている彼らは5人でこの場所に立つのは今年で最後となる。メトロノーム音のSEでステージに現れたメンバー。篠山コウセイ(Vo,G)が腕を大きく広げると、“遺失物取扱所”から弾むようなポップサウンドが丘のステージに溢れ出した。続けて“世界に一人ぼっち”へ。孤独と諦念を前提とするサックの歌だが、なぜかそこに不思議と居心地のよさがある。

「今、このステージを選んでくれた変わり者のみなさまの支えによって成り立ってます、Suck a Stew Dryです」という篠山らしい挨拶。そこから皮肉たっぷりに女子の姿を描いた“失恋、失恋。”や、「大嫌いな人たちに愛を込めて」と歌い出した“レフストアンブルフィ”など、最新アルバム『N/A』で更新された豊かなバンドアンサンブルが見る者を惹きつけていく。

ラスト1曲は「自分たちだなと思う曲があるので、聴いてください」(篠山)と、静かに告げて“トロイメライ”。僕がいなくなっても世界は動く――メロディにのる言葉の奥に隠れるのは「それでも」という想いだ。暗闇のなかで光を求め、絶望のなかで希望を探す。Suck a Stew Dryはそうやって生きねばならない私たちへ哀歌を送る。アンコールでは「よかったらでいいので、生きてたら会いましょう」と言って、“Normalism”で終演。終わりを惜しむように掻き鳴らす5人の音色は「生きろ」という叫びに聴こえた。(秦理絵)

この4日間の模様を凝縮した「ROCKIN'ON JAPAN増刊号 ROCK IN JAPAN FES.2016」は9月16日発売予定です! 全ライブアクトのセットリストは、そちらに掲載されます。